特定非営利活動法人リコリス 特定非営利活動法人リコリス

秋田市川反・飲食店の休廃業状況調査
(2022年6月)


調査の目的

コロナ禍の影響により秋田市の歓楽街・川反の店が減少してしまっていることは
皆さんもご存知かと思います。
そういう私たちも肌感覚ではそう思っていたのですが、
実際にどれほどの規模感で川反に影響を及ぼしたのかはわかりませんでした。
コロナの感染がとりあえずひと段落したと思われるこのタイミングで、
まずは街の現状把握を行ない、その上でどういった行動をするべきかの指針を作る為に調査することにしました。


調査に至ったきっかけ

私たちリコリスは街の現状把握のための「ベースマップ」作りを主な活動の1つにしています。
この「ベースマップ」は街にお店を増やすことを計画的かつ効果的にする為の基本戦略を考えるのに必要不可欠な「街の現状を示す地図」です。

そのような活動をしていることから、定期的に川反を散策してはいたものの
具体的な店の減少数までは把握できていなかったことと
人流が回復しつつあるこの時期が一つの区切りであると感じ今回の調査に踏み切りました。



対象地域:秋田市中心市街地川反通り

手法

調査対象の範囲はいわゆる川反の中心地区、店が密集している大町4丁目、5丁目としました。(赤線で囲まれている範囲)
また、店の数の変動を比較しやすくする為に3つの時点でのデータを比較しました。

1. コロナ禍前の2018年11月のデータ(正常だった頃のデータ)
2. 1回目の緊急事態宣言を終えるも感染は拡大期にあたる2020年11月のデータ
3. 実際に雑居ビルの内部も含めて一軒一軒廻った2022年6月の調査結果 調査結果

調査結果

結論から言うと、この3年半で差引き118軒の店がなくなっていました。
最初の2年間を前半、後の1年半を後半だとすると後半の減少率が大きくなっていることがわかります。
前半の調査時点ではまだ緊急事態宣言を越えてホッとした空気があり、
これほど長引くとは思っていなかった時期です。
その時期に新規出店がある程度あるのは、国の緊急支援等で融資が比較的簡単に出たこと、
緊急事態宣言も明けたしコロナも終息するだろうという希望的観測があって出店したのだろうと推察されます。
しかし後半の一年半では減少の幅をさらに広げています。
この時期の新規出店は小規模な雑居ビルの店舗移転がほとんどで家賃の安いところに移っていったことが伺えます。



秋田市川反横町通り

気づいたこと

1. 経済損失
詳しいデータが手元にないので肌感覚も含みますが、
店舗の一般的な平均年間売上から察するに調査地区だけでも
年間8.5億円くらいの経済損失がありそうだと推察されます。

2. ビルのフロア縮小
雑居ビルの調査で顕著だったのがフロアの縮小です。
今まで7階まで営業していたビルが7階部分の店舗に移転をお願いし、
そのフロアは空にして使わなくなった様な例がありました。
また店側も諸事情から移転せず・できずにそのまま廃業する選択をした例も散見しました。

3. ビルの管理状態によるテナント増減の傾向
雑居ビルの表には入居しているテナント名が表記されているものなのですが、
それが現状と必ずしも一致していないことが調査を難航させました。
こう言っては何なのですが、それを信用できないため全てのフロアを廻ることになりました。
その結果気づいたのは、管理体制の行き届いているビルはその一致率が高く、
そうでないビルは一致率が低いという相関でした。
また管理されたビルほどテナントの減少率も低い傾向にありました。

4.建物の老朽化
川反地区全体として建物の老朽化していることが悪い意味で印象的でした。
この界隈を歩くのは必然的に夜なので、明るいうちに歩くと余計にそれに気付いたのかもしれません。

大都市の繁華街の商業物件は大きなものが多く、その大きさに故に所有するのも大きな資本を持つ企業等がほとんどです。
物件の魅力を高める投資が適時・適切に行われ、収益性の維持を実現できるという良いサイクルを保っている訳です。(もちろんテナント料も高い)
それに対し地方都市の繁華街の商業物件の所有者は資本力の乏しい地元企業等が多く、
物件に対する適切な投資がされにくい状態です。
それが年数相応の建物の劣化がそのまま現れる→ それがテナントの魅力低下に繋がる→ テナント料を下げなければ入らない→ 物件への投資が困難 という負のサイクルに地方都市の繁華街の物件は陥っているのです。
この傾向は全国的なものであり、もちろん秋田市も例外ではないようです。


調査を終えて

実際に歩いてこの目で見てみると思っていた以上にコロナの爪痕が目立ちました。
ですが漠然と「寂れてしまった」とだけ思って不安に苛まれている状態よりも、
厳しい現実ですがある程度見える状態にできたことで次に繋がると楽観的にもなれました。
発症数が減少してきた昨今、この流れが止んで新規出店数が増えていくことを本当に願ってやみません。


>>上記の調査がベースとなった記事が掲載されました(6/20秋田魁新報)


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